PMTCについて
PMTCって?
"Professional Mechanical Tooth Cleaning"の略語であるPMTCは歯科衛生士が歯面から細菌バイオフィルム、着色などを完全に除去する治療法です。 これにより歯はツルツルになり、細菌がつきにくくなるだけでなく、着色がとれて美しいご自分の歯が蘇ります。
歯ブラシでは落とせない汚れ
ムシ歯・歯周病の原因は言わずと知れたプラーク(歯垢)です。
しかし最近になって、歯の表面に付着し成熟したプラークは、多種多様の細菌が複雑にからみあった「バイオフィルム」であることがわかってきました。
このバイオフィルムとは「細菌群がきわめて安定した集落を作り、しっかりと定着した状態」をいいます。 このフィルムは、細菌が分泌する多糖体に守られ、強力に付着するため、歯ブラシではなかなか取り除くことができません。 また、他の異物の侵入を拒否する性質があるため、ぬり薬、うがい薬などの効果もきわめて限定的です。
イメージとしてはお風呂場掃除のときの「水アカのようなもの」と考えていただければよいでしょうか。そうです、バイオフィルムは水アカのように専用の器具や薬剤を使わなければ、なかなか除去できない汚れなのです。 このバイオフィルムをはがしとる手段として、現在最も能率的かつ効果的な方法と考えられているのがPMTCです。
予防の時代
医療界全般についてもそうなのですが、「20世紀はキュアの時代、21世紀はケアの時代」などとよく言われます。 これまでの歯科治療は「すでに進んでしまった病気をどう治そうか」ということばかりに取り組んできました。これはある意味、時代の要請でもありましたし、決して間違ったことではなかったと思います。ところがその結果、「削って治したはずのものが再発してしまう」というケースが頻繁に生じたため、そういった医療のあり方が反省期に入ろうとしているのです。
加えて「ムシ歯や歯周病は、口腔内に常在する特定の細菌によって起こる」ということも次第に明らかになってきました。歯科医療は今、従来からの「悪くなったらその部分を削っては詰める」という「修復中心」の姿勢から、病気の原因そのものを取り除こうという「予防中心」 に向けて、大きく舵を切ろうとしているのです。
これは「削る」という行為が間違っていたのではなく、その前後に当然あるべき「ケア」の視点が、今まであまりにも軽視されていたということなのです。
プロフェッショナル・ケア
プロによるケア:PMTCと、患者さん自身によるホームケア:日常のブラッシングが、クルマの両輪のように上手く機能し始めるようになると、相乗効果で 歯周病治療がより効果的に行うえるようになり、その後の経過も良い方向に向かい始めることは想像に難くないでしょう。
治療開始直後など、一生懸命にブラッシングしているもののテクニック的になかなか上手に磨けない患者さんの補助としても、PMTCは効果的です。PMTCを中心としたケアにより、徐々に歯肉の状態が改善してゆくと、患者さんはおのずとプラークコントロールの大切さを実感することになります。そうなれば、やる気も徐々に増してくるというものです。
歯周病が改善した後も、再発防止のためにプラークコントロールは重要です。毎日のホームケアでどうしても取り残してしまう汚れや、前述の「バイオフィルム」というPMTCでなくては除去できない汚れを、数ヶ月に一度のメインテ ナンスプログラムの中で、プロフェッショナルによるケア:PMTCで取り除き、万全を期すのです。