MTAセメント法(エムティーエイ・セメント法)について
MTAセメント法とは?
麻酔なしでも深くまで削らないので痛くないMTAセメント法!
歯医者が苦手、でも虫歯は治したい、大きな虫歯になって凍みるようになってきたという方へMTAセメント法という治療手段が考案されました。
虫歯の治療は、その進行度合いがエナメル質の部分(C1)でしたら削っても傷みはありませんが、象牙質にまで細菌が入ると(C2)、これを削ると痛みが出ます。
そこで麻酔をかけて治療する必要がありました。
このMTAセメント法は象牙質の深い部分の虫歯はわざと取らずに残します。 残った細菌を薬で殺します。したがって、ほとんど、あるいはまったく痛みのない治療手段です。
MTAセメント法の最大の功績は、従来でしたら神経を取らなくてはいけないくらいに進行した虫歯に対して神経を保存することが出来るようになった事です。
ただ、全てのケースで神経を残せるのではありません。完全に神経が細菌によって死んでしまった場合にはMTAセメント法といえども神経を残すことは出来ません。
※注意
象牙質の虫歯(C2)で深くない場合には薬を置くスペースやそれを密閉するスペースがないためMTAを適用するのは困難です。
その場合には従来どおりの治療を行います。
MTAセメント法による虫歯治療
MTAセメント法での治療は、麻酔なしでも深くまで削らないので痛くありません。
軟らかい死んだ象牙質だけを除去します。
MTAセメント法においては、まずスメア層(象牙質を削った時に発生する削りカスが壁にゆるく付着し層と象牙細管にカスが詰まったスメアプラグからなるもの。)の除去を行います。無機質を溶解・除去する効果がある12%で処理する事で軟らかい死んだ象牙質だけを除去します。ドリルでもエキスカベーターという器具でも簡単にいたみを与えずに除去できます。
虫歯を削った部分を十分に洗浄・消毒した後、薬座を作りMTAを塗布します。その上を、グラスアイオノマーセメントで完全に密閉します。MTAセメント法を成功に導くために重要なことは100%薬剤を密閉できるかにかかっています。この時点では、まだ細菌は象牙質深部に侵入した状態で残っています。
MTAで残った虫歯菌を殺菌MTAの成分が、象牙質深部に残っている細菌を殺菌します。最終的に、詰め物をして治療が完了します。
MTAセメント法その他の応用
根管治療(神経の治療)へのMTAセメント法の応用
大臼歯には根が(神経)が細かったり、曲がっていたり、奥過ぎたり、また3~4本の根で出来ていることなど、完全な根の治療(根管治療)を困難にさせている要因が多数あります。
そのため、根の治療を行っても、根の先端に膿を持ってしまう場合が多数見受けられます。そういった場合には再治療をするわけですけれども、上記の理由によりやはりうまくいかない場合が良くあります。
そういったケースにMTAセメント法は有効です。
根が曲がっていたり、神経の部屋がふさがってしまっている場合にMTAセメント法を応用することで、治療を成功に導くことが可能のケースが出てきました。
神経を取った後、根の中を特殊な材料で詰めた上からMTAを乗せセメントで密封します。
MTAセメント法の治療後の経過観察と処置点
MTAセメント法 治療後1~3日後
1.冷たいものに凍みない→経過良好
2.冷たいものに凍みる→歯医者で処置を受ける
3.自発痛(ズキズキ痛む→歯医者で処置を受ける。鎮痛剤を飲む。痛みが消えなければ神経を取る処置が必要。
MTAセメント法 治療後2週間後:歯の変色のチェック
1.変色あり→再治療